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2007年9月28日 (金)

土門拳記念館にて

Photo_3 山形県酒田市にある、この素敵な土門拳記念館で、いよいよ土門拳賞受賞作品展が始まりました。

会期は9月26日から11月25日までですが、初日はスライド・トークショーを開催しました。他府県からも駆けつけてくれたみなさん、本当にありがとう。

今回は、常設展の土門拳作品をたくさん拝見することができて嬉しかったですね。とくに感動したのは、筑豊の子供たちの「お昼に弁当のない子供」の作品でした。

この作品を見ると、当時、いかに生活が貧しかったかがストレートに伝わってきて、ぼくの足はその場から動かなかった。

昼食のお弁当を食べているのは、小学校4~5年生くらいだろうか。みんながおいしそうに食べているその隣の席で、わき目もふらず、絵本に目をやる女の子たちが何人もいる。

そしてキャプションにはこう記されていた。「後ろでどおっと笑いがおこっても、その子たちは振り向かない。目のやり場に困るからだ」

この説明を読んで、よどみなく涙があふれてきた。ぼくも子供の頃はこんな服装だった。そしてこの子たちと同じように、家は貧しかった。

ぼくの想像だが、土門拳は涙を流しながら撮った一枚ではないだろうか。涙でレンズがかすんで、ときどき見えなかったのではないだろうか。

写真界の大先生方の中には、「作品にはキャプションは必要ない、見る人たちに想像をかきたててもらえばいいのだ」とおっしゃる人も大勢いる。

でも、土門拳のこの短いキャプションにより、少なくともぼくは、胸の内からこみ上げてくるものがあった。写真からは見えないところで、そんなやるせないドラマがあったのかと。

土門拳のオリジナル作品に触れて、あらためて受賞の重さをひしひしと感じ、この賞に恥じぬようこれからも頑張るぞと、さらに意識を高めて帰宅したのでした。

2007年9月28日 | | コメント (4) | トラックバック (0)

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