2007年8月16日 (木)

成田均という男

海外ロケを前に少しばかり時間がとれたので、夏休みということもあり、千葉県館山市の成田均さんのところに、家族で遊びに出かけた。

成田さんはシークロップという、ダイビングサービスを経営しているので、お盆休みでお店は大繁盛であった。

Photo 成田はぼくと同じ秋田県出身である。20代の頃からスキンダイビングが得意で、当時、世界的にブームだった素もぐりによる魚突き大会では、鶴、赤間、成田の3人は常に良きライバルであった。

ぼくは雑誌の特派カメラマンとして、いつも成田をマークしていた。ものすごくカッコよく、人柄もとても温厚で、あっという間に仲良くなったものだ。以来、ぼくのことを兄貴と呼んでくれるようになった。

成田との付き合いは古いが、今でも、なにか我が家でイベントがあると、片道3時間もかけて新鮮な魚介類を運んでくれる。魚も貝類もさばき終えると、その足で帰るのだ。どうやらサシミが苦手らしい・・・。なんとも心やさしい男なのだ。

その後しばらくして、ぼくのカメラの対象は素もぐりの世界チャンピオンを目指す、ジャック・マイヨールへと移っていく。それは魚突きという行為が次第に低迷し、ダイビング業界が大きく変わろうとする時期でもあった。

若いジャック・マイヨールは、中野にできた「タック」というプールで、美しい恋人のゲルダさんといつも一緒にトレーニングをしていた。精神統一から、水深15メートルの深さのプールを何度も息継ぎもせずに往復していた。

ジャックは、何度も会うぼくに気を許してくれ、やがて電話までくれるようになった。

一度、3人で地下鉄丸の内線に乗ったことがある。明日、いったん日本を発つということだった。東京駅で下車した途端、ジャックはアアーと声を上げた。

ぼくは忘れ物だと判断し、一目散に駅長室に駆け込んだことを昨日のことのように思い出す。あとで笑い話となったが、ジャックは帰国の際に着用するスーツを、網棚の上に置き忘れたのだった。

それからどれくらい経っただろうか。ぼくのもとにとんでもない知らせが入ったのだ。なんと、マイアミのスーパーで買い物をしていたゲルダさんが、見知らぬ男とすれ違いざま刃物で刺され、死亡したというのだ。相手は精神に障害を持つ男であった。

いつもジャック・マイヨールのそばで同じようにトレーニングをし、とても控えめながら、ジャックの大きな支えとなっていたゲルダさん。

その後、ジャック・マイヨールは変わった。映画「グラン・ブルー」のモデルとして、世界中の人々に親しまれるのだが、同時に孤立しつつあったようだ。マスコミにはチヤホヤされるが、どこか自分が安らぎを覚えられるような場所を求めていたようである。

そこに現れたのが成田均であった。ジャック・マイヨールが自らの命を絶つまで、成田は献身的にジャックを守り通した。ジャックがもっとも信頼し、心を許したのが成田均だったのだ。

だから、ジャックは日本に居を構えた。それも成田が住む館山の家の近くだ。大きな日本家屋、そこは今、「ジャックス・プレイス」という、ジャック・マイヨールの資料館のようになっている。

みなさん、一度館山に出かけてみてはいかがですか。「シークロップ」(電話:0470-29-1575)に連絡して、是非、成田均に会ってみてください。今は独身のようですよ。そして「ジャックス・プレイス」も案内してもらったらいいさー。

2007年8月16日 |

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コメント

館山方面に行った時は、寄ってみようかしら。。。

それにしても、リーフの目がピカピカ光ってて怖い(笑)

投稿: さち | 2007/08/16 20:24:11

映画や小説などより
よっぽど いろいろなドラマがあったんですね....
感動です.
成田さん お会いしてみたい☆
ところで おいくつかしら??? ufufu☆

投稿: myu☆ | 2007/08/16 23:10:51

メモメモ。
ん?独身?メモメモ!
(いえ。いえ。愛しの☆良太郎SUN☆に教えてあげるためです。ほんまやって!)

投稿: 愛染 | 2007/08/17 3:47:12

マイヨールさんの心痛を思うと目眩がして涙が止まらなくなりました
成田さんは魅力的な方ですね。一度お目にかかりたいです

投稿: えり | 2007/08/18 0:24:25

先日、シークロップで黒ラブMIXのはなを連れていた豊です。お話して頂いてありがとうございました。リーフの調子はいかがでしょうか?紅海に行かれたんですね。お体に気をつけて、行ってらっしゃいませ。

投稿: 鈴木 豊 | 2007/08/18 19:05:57

 おお~ジャック・マイヨール・・・
永遠に忘れられない海の男。イルカのように自在に海中を泳ぎまわる美しい姿が目に焼き付いています。海の神秘、自然のすばらしさを教えてくれたジャック・マイヨール。その死は唐突で信じられないことでしたが、そんな事実が・・。
 彼の晩年に海の男同士の信頼と友情、安らぎが成田さんによってもたらされていたのは救いでした。中村さんのまわりにはいい男がいるんですね。成田さん、かっこよすぎ!!
いつかジャックス・プレイスに行きます。成田さんちゃんぽん好きですか~

中村さん、エジプトではちゃんとお帽子をかぶってね

投稿: 篠原 | 2007/08/19 14:33:34

館山ですね、今度行ってみようと思います。
ジャックマイヨールさんの話はとても痛々しかったです。
グランブルーは何度も観ましたし、逸話も聞いていたので、繊細な方だとは思っていましたが。
悲しいことってたくさんありますね。

成田均さん、どんな方なんでしょう?
いつかお会いしたいと思いました。

投稿: あきぼう | 2007/08/21 2:59:39

1986年にダイビングのライセンスを取り、海の世界のとりこだった頃、実家が千葉市だったこともあり、時々シークロップに片道2時間かけて(当時は高速道路はなかったからね)一人で潜りに行き、いつも成田さんにお世話になっていました。当時、まだ、千葉で潜れるのは坂田(ばんだ)の成田さんのところぐらいで、東京湾の入り口にこんなに豊かな世界があるのかと、毎回驚かされていました。

しかし、そんなことよりも一番驚いたのは、水深20mあたりを潜っていると、タンクなしの身軽な成田さんがスイスイと潜ってきて、OK?なんて聞いてくるのです。定置網にひっかかった魚をはずしたり、ちょっと魚を突いてみたり、タンクを背負っている私たちにもできないことをいとも簡単にやってのける姿に感動を覚え、ひたすら尊敬のまなざしを向けていました。八丈島でも赤間さんのところで、同じような姿を見ていました。私ってとっても恵まれていたダイバーだと今更ながら思います。でも、シークロップで征夫さんとお会いしたことはなかったな~(涙)

先日、石川県能登島で野生のイルカと遊んできました。イルカの愛らしい姿をみながら、思い出したのはグランブルーのあの場面、イルカにほほえみながら笑顔とともに深い海に落ちて行くシーンは忘れられません。

現在は川崎在住でなかなか館山方面に出向けませんが、機会を見つけて、成田さんにも会いに行ってみたいと思いました。ジャックス・プレイスも出かけてみるさ~。

昔、昔のダイビングワールドのレッドシーの郁夫さんの写真が思い出されます。と~っても暑そうだけれど、今のレッドシーをたくさん見せてくださいね。楽しみにしています。どうぞお体大切に。

投稿: こんのまゆみ | 2007/08/21 13:47:34

すみません、すみません。「征夫さん」のまちがいです。郁夫さんって誰だ~!ゆるしてくだされ~。ワープロのばかやろ~m(_ _)m

投稿: こんのまゆみ | 2007/08/21 21:05:18

ジャック・マイヨール氏がTACのプールで何往復もしていた事を懐かしく思い出しました。(私もかなり古い人間?)
彼の事を知らない輩が、無謀にも隣で挑戦していましたっけ!氏の訃報はすごいショックでした。晩年、彼は幸せだったのでしょうか?成田氏の友情が心の慰めだったのでしょうね。きっと天国で、彼女とイルカと一緒に幸せに泳いでいるでしょう。今度ぜひジャックス・プレイスに行きます。
紅海の様子楽しみです。大昔の(スージー&ママの頃の)海と変わったでしょうか?

投稿: Mariko Y. | 2007/08/22 0:41:36

イヤー照れるなー・・・・!      征夫さん!
僕のこと格好良く書きすぎです!?
それにしても、久しぶりに昔のことが思い出され懐かしい郷愁に駆られています。
思えばいろんなことがありましたね?
言葉では表現しつくせないデリケートな感覚を、これからも大切にしますから、末の弟共々?今後も可愛がって下さい。

投稿: 成田 均 | 2007/08/31 7:38:02

去年暮れより館山市在住、シークロップに通ってます。
Bahamasや御蔵島で、野生のイルカとドルフィンスイムもやっています。
成田さんは本当に素晴らしい方です。大好きです。
こちらにいらしてたんですね、お会いしたかったです。
実家が長野なので、安曇野の写真展を見に行きましたよ^^

投稿: ふぅ | 2007/09/04 10:56:35

成田さんに初めてお目にかかり、
もう20年を超えるんですね。
それからほどなく成田さんの紹介でシークロップにて
今の夫と知り合い、結婚…。
あれから一度だけ家族で伺ったきりです。

その結婚が決まった時に職場のダイビング仲間から
征夫さんの写真集をプレゼントされて、感激したのが
つい最近のような気がしてなりません。

まだ御独りなんですよね・・・。
当時は「当年(10年)とって30歳!」っておちゃめに
おっしゃっていらしたから、まだまだお若い!
今からでもジャックさんのゲルダさんのように素適な
伴侶がいらしてもよさそうですが・・・?


投稿: momo | 2007/09/05 5:47:59

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